Chapter 8: EmailとSMS
EmailとSMS
メールのセットアップ
web2pyは、web2pyを使用して簡単にメール送信を行うために、gluon.tools.Mail
クラスを提供しています。メーラは次のように定義できます。
from gluon.tools import Mail
mail = Mail()
mail.settings.server = 'smtp.example.com:25'
mail.settings.sender = 'you@example.com'
mail.settings.login = 'username:password'
アプリケーションが Auth
を使用している場合(Authについては次章で取り上げます)、auth
オブジェクトは専用メーラ auth.settings.mailer
を持っています。このため代わりに、次のように定義することも可能です:
mail = auth.settings.mailer
mail.settings.server = 'smtp.example.com:25'
mail.settings.sender = 'you@example.com'
mail.settings.login = 'username:password'
使用するSMTPサーバ用に、mail.settings で適切なパラメータ値を設定します。SMTPサーバが認証を必要としない場合は、mail.settings.login = None
とセットします。
もしTLSを使用したくない場合は、mail.settings.tls = False
とセットします。
デバッグ用には次のようにセットします。
mail.settings.server = 'logging'この場合メールは送信しません。その代わりコンソールにログが出力されます。
Google App Engine でのメール設定
Google App Engineでのメール送信設定は、次のようになります:
mail.settings.server = 'gae'
現時点でのweb2pyは、Google App Engine上での添付ファイルと暗号化メールはサポートしていません。cronとスケジューラは、GAE上では動作しないことに注意してください。
x509 と PGP 暗号化
x509 (SMIME) 暗号化メールを送信するには、次のようにセットします:
mail.settings.cipher_type = 'x509'
mail.settings.sign = True
mail.settings.sign_passphrase = 'your passphrase'
mail.settings.encrypt = True
mail.settings.x509_sign_keyfile = 'filename.key'
mail.settings.x509_sign_certfile = 'filename.cert'
mail.settings.x509_crypt_certfiles = 'filename.cert'
PGP 暗号化メールを送信することも可能です。全ての最初に、python-pymeパッケージをインストールすることが必要です。次に GnuPG (GPG) を使用し、送信者のキーファイルを作成します(mail.settings.senderからのe-mailで利用します)。そして、pubring.gpg と secring.gpgファイルをディレクトリ(例えば、"/home/www-data/.gnupg")に配置します
次のように設定します:
mail.settings.gpg_home = '/home/www-data/.gnupg/'
mail.settings.cipher_type = 'gpg'
mail.settings.sign = True
mail.settings.sign_passphrase = 'your passphrase'
mail.settings.encrypt = True
メール送信
mail
の設定が完了している場合、次のようにメールの送信が可能です:
mail.send(to=['somebody@example.com'],
subject='hello',
# If reply_to is omitted, then mail.settings.sender is used
reply_to='us@example.com',
message='hi there')
メール送信が成功すると Mail は True
を返します。そうでなければ、False
を返します。 mail.send()
の全ての引数は次の通りです:
send(self, to, subject='None', message='None', attachments=1,
cc=1, bcc=1, reply_to=1, encoding='utf-8',headers={},
sender=None)
to
cc
そして bcc
はメールアドレスのリスト値を指定します。
headers
は送信するメールのヘッダー情報を、次のように辞書型で指定します:
headers = {'Return-Path' : 'bounces@example.org'}
sender
はデフォルトでは None
になり、このケースでは送信者は mail.settings.sender
とセットされます。
以下、 mail.send()
の追加の使用例です。
テキストメール
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
'Plain text body of the message')
HTML メール
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
'<html>html body</html>')
メール本文が <html>
で始まり </html>
で終わった場合、HTMLメールとして送信します。
テキストとHTMLの混在メール
メール本文をタプルで指定できます(テキスト, html):
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
('Plain text body', '<html>html body</html>'))
cc
と bcc
を使用したメール
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
'Plain text body',
cc=['other1@example.com', 'other2@example.com'],
bcc=['other3@example.com', 'other4@example.com'])
添付ファイル
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
'<html><img src="cid:photo" /></html>',
attachments = mail.Attachment('/path/to/photo.jpg', content_id='photo'))
複数の添付ファイル
mail.send('you@example.com',
'Message subject',
'Message body',
attachments = [mail.Attachment('/path/to/fist.file'),
mail.Attachment('/path/to/second.file')])
SMS メッセージの送信
web2pyアプリケーションからSMSメッセージを送るには、受信者にメッセージを中継することのできるサードパーティのサービスが必要です。通常はこのサービスは無料ではありません。しかしこれは国によって違います。幾つかのサービスを試してみましたが、ほとんど成功しませんでした。電話会社は結局スパムと判断し、これらのサービスからのオリジナルのメールをブロックしました。
より良い方法は、SMSを中継する電話会社のサービスを使用することです。各電話会社が独自に携帯電話番号に関連付けられたメールアドレスを持っているので、SMSメッセージを電話番号へ、メールとして送信することができます。
web2pyには、この処理を支援するモジュールが付属しています:
from gluon.contrib.sms_utils import SMSCODES, sms_email
email = sms_email('1 (111) 111-1111','T-Mobile USA (tmail)')
mail.send(to=email, subject='test', message='test')
SMSCODESは、主要な電話会社のメールアドレスの後に付加する名前のマッピング辞書です。 sms_email
関数は、電話番号(文字列)と電話会社の名前を受け取り、携帯電話のメールアドレスを返します。
メッセージ作成で使用するテンプレートシステム
メール作成にテンプレートシステムを使用することが可能です。例えば、次のようなデータベーステーブルを使用します。
db.define_table('person', Field('name'))
データベースに登録されている人に、ビュー・ファイル "message.html" に保存した次のメッセージを送信します:
Dear {{=person.name}},
You have won the second prize, a set of steak knives.
次のように実行します。
for person in db(db.person).select():
context = dict(person=person)
message = response.render('message.html', context)
mail.send(to=['who@example.com'],
subject='None',
message=message)
大抵の処理は、次の命令で行われます。
response.render('message.html', context)
"context" 辞書に定義されている変数を使用し、ビュー "message.html" をレンダリングします。そしてレンダリングしたメールテキストを文字列で返します。context は、テンプレートファイルで表示する変数を含んだ辞書オブジェクトです。
メッセージが <html>
で始まり </html>
で終わる場合、HTMLメールになります。
HTMLメールにウェブサイトのリンクを入れる時は、URL
関数を利用できます。しかしデフォルトの URL
関数が生成する相対URLは、メールからは動作しません。絶対URLを生成するには、URL関数の引数 scheme
と host
を指定することが必要です。例えば:
<a href="{{=URL(..., scheme=True, host=True)}}">Click here</a>
もしくは
<a href="{{=URL(..., scheme='http', host='www.site.com')}}">Click here</a>
SMSメッセージや他のテンプレートベースのメッセージ生成でも、メールテキスト生成で使われるメカニズムと同じものが使用されています。
バックグラウンドタスクを使用したメッセージ送信
接続の可能性があるリモートSMTPサーバへのログインと通信処理のため、メールメッセージ送信の動作に数秒かかることがあります。 この間、ユーザは処理が完了するまで待機状態になるため、バックグラウンドタスクによって、メールを後で送信するキューを使う方が望ましい場合があります。4章での説明にのように、手製のタスクキューの設定や、web2pyスケジューラを使用することが可能です。ここではタスクキューを使用した例を紹介します。
最初に、メールキューを格納するデータベースモデルを、アプリケーションのモデルファイルに定義します:
db.define_table('queue',
Field('status'),
Field('email'),
Field('subject'),
Field('message'))
コントローラからメッセージを送信するため、次のようにキューに入れます:
db.queue.insert(status='pending',
email='you@example.com',
subject='test',
message='test')
次に、バックグラウンドプロセスのスクリプトで、キューを読むと共にメール送信を行うことが必要です:
## in file /app/private/mail_queue.py
import time
while True:
rows = db(db.queue.status=='pending').select()
for row in rows:
if mail.send(to=row.email,
subject=row.subject,
message=row.message):
row.update_record(status='sent')
else:
row.update_record(status='failed')
db.commit()
time.sleep(60) # check every minute
最後に、第4章で説明したように、アプリケーションの環境下で mail_queue.py スクリプトを実行する必要があります:
python web2py.py -S app -M -N -R applications/app/private/mail_queue.py
ここで、-S app
はweb2pyの "app" 環境下で "mail_queue.py" を動かす、-M
はweb2pyのモデル定義を読み込む、-N
はweb2pyのクーロンを動かさない、という意味です。
"mail_queue.py" で参照している mail
オブジェクトは、モデルファイルて定義しています。これは -M
オプションにより、"mail_queue.py" スクリプトで参照可能になる、ということが前提になっています。さらにまた、他のプロセスに対してデータベースロックの影響を及ぼさないよう、できるだけ早く変更をコミットすることも重要です。
第4章でも説明しましたが、このタイプのバックグラウンドプロセスはクーロンでは動かすべきではありません(@rebootクーロンは除きます)。理由は、同時に複数のインスタンスが実行されていないことを確認する必要があるからです。
バックグラウンドプロセスでメール送信することの欠点は、メール送信が失敗した場合にユーザへのフィードバックが困難なことです。メールをコントローラ機能から直接送信した場合は、各種エラーを受け取り、直ぐにユーザに返すことが可能です。バックグラウンドプロセスを使用した場合は、コントローラ機能がレスポンスを返した後に、メールは非同期で送信されます。これによりエラーをユーザに知らせるのは、より複雑になります。
メールボックスの読み込みと管理(実験的)
IMAP
アダプタはIMAPサーバとのインターフェースとして意図されており、web2pyのクエリ構文で単純なクエリを実行することにより、メールの読み込み、検索、他のIMAPメールサービス(Google(r)やYahoo(r)のようなブランドとして実行される)との連携を、web2pyアプリケーションから管理することが可能になります。
これは "statically" という名前のテーブルとフィールドを作成します。これは開発者が、.define_tables()
メソッドでアダプターを呼び出すことにより、DALインスタンスへのテーブルとフィールドの定義を行うのを、残しておく必要があることを意味しています。テーブルは、IMAPサーバのメールボックスの一覧情報により、定義されます。
接続
単一のメールアカウントの場合、次のコードは、アプリのモデルでIMAPサポートを開始するお勧めのコードです。
# Replace user, password, server and port in the connection string
# Set port as 993 for SSL support
imapdb = DAL("imap://user:password@server:port", pool_size=1)
imapdb.define_tables()
<imapdb>.define_tables()
は、{<tablename>: <server mailbox name>, ...}
構造によるサーバメールボックス名に対する、DALテーブル名のマッピング文字列の辞書を返すことに、注意してください。これにより、IMAPサーバの実際のメールボックス名を取得することができます。
もし自分自身のテーブル名/メールボックスの設定をセットし、自動での名前設定をスキップしたい場合、次のようにアダプタに対してカスタム辞書を渡すことが可能です:
imapdb.define_tables({"inbox": "MAILBOX", "trash", "SPAM"})
ユーザインターフェースに違うネイティブのメールボックス名を取り扱うには、自動でマッピングされたメールボック名(ネイティブのメールボックスのテーブル名と逆引きを持っています)のアダプタに、次の属性を与えてアクセスします:
属性 | タイプ | フォーマット |
Attribute | Type | Format |
imapdb.mailboxes | dict | {<tablename>: <server native name>, ...} |
imapdb.<table>.mailbox | string | "server native name" |
最初は、ネイティブのメールサービスのメールボックスでの、IMAPクエリセットを取得すると便利です。
# mailbox is a string containing the actual mailbox name
tablenames = dict([(v,k) for k,v in imapdb.mailboxes.items()])
myset = imapdb(imapdb[tablenames[mailbox]])
メールのフェッチとフラグの更新
ここでは、コントローラで使用することができる、IMAPコマンドのリストを示します。例ではIMAPサービスは、Gmail(r)アカウントのケースを想定した、INBOX
という名前のメールボックスを持っています。
メールボックスの受信トレイから、6000オクテット以下の本日の未読メッセージをカウントします。
q = imapdb.INBOX.seen == False
q &= imapdb.INBOX.created == request.now.date()
q &= imapdb.INBOX.size < 6000
unread = imapdb(q).count()
前のクエリのメッセージをフェッチするには、次のようにします。
rows = imapdb(q).select()
通常のクエリ演算子は、belongsも含め実装されています。
messages = imapdb(imapdb.INBOX.uid.belongs(<uid sequence>)).select()
注意: 巨大なセレクトコマンドによるサーバ障害を避けるため、クエリの結果はしきい値以下のサイズにすることを、強く推奨します。
メールクエリを速く実行するために、フィールドのフィルタセットを渡すことを、お勧めします。
fields = ["INBOX.uid", "INBOX.sender", "INBOX.subject", "INBOX.created"]
rows = imapdb(q).select(*fields)
アダプタは、いつ部分的なメッセージペイロードの取得するのかを知っています(content
、size
、attachments
のようなフィールドは完全なメッセージデータの取得を要求します)。
limitby とメールボックのフィールドのシーケンスで、クエリセレクトの結果をフィルターすることが可能です。
# Replace the arguments with actual values
myset.select(<fields sequence>, limitby=(<int>, <int>))
アプリのアクションでメールボックスメッセージを表示したい場合、まずメッセージを取得します(IMAPサービスがサポートしている場合、古い参照シーケンスを使用しないで、uid
によってメッセージをフィッチします)。
mymessage = imapdb(imapdb.INBOX.uid == <uid>).select().first()
さもなければ、メッセージの id
を使用することができます。
mymessage = imapdb.INBOX[<id>]
メッセージのidを使用した参照は推奨されていないことに、注意してください。なぜなら、メッセージの削除などによるメールボックのメンテナンス操作で、シーケンス番号が変更される可能性があるからです。もしそれでもメッセージへの参照を記録したい場合(すなわち、他のデータベースのレコードフィールド)、サポートする場合はいつでも、参照としてuidフィールドが、保存された値と共に各メッセージの取得に使用することがソリューションになります。
最後に、ビューでメッセージ内容を表示するには、次のものを追加します。
{{=P(T("Message from"), " ", mymessage.sender)}}
{{=P(T("Received on"), " ", mymessage.created)}}
{{=H5(mymessage.subject)}}
{{for text in mymessage.content:}}
{{=DIV(text)}}
{{=TR()}}
{{pass}}
期待通り、ビューでメッセージリストを作成するために、SQLTABLE
ヘルパーを活用することができます。
{{=SQLTABLE(myset.select(), linkto=URL(...))}}
そしてもちろん、適切なシーケンスid値を持つフォームヘルパーを与えることも可能です。
{{=SQLFORM(imapdb.INBOX, <message id>, fields=[...])}}
現在のアダプタで利用可能な、サポートされるフィールドは次の通りです:
フィールド | タイプ | 説明 |
Field | Type | Description |
uid | string | |
answered | boolean | Flag |
created | date | |
content | list:string | A list of text or html parts |
to | string | |
cc | string | |
bcc | string | |
size | integer | the amount of octets of the message* |
deleted | boolean | Flag |
draft | boolean | Flag |
flagged | boolean | Flag |
sender | string | |
recent | boolean | Flag |
seen | boolean | Flag |
subject | string | |
mime | string | The mime header declaration |
string | The complete RFC822 message** | |
attachments | list | Each non text decoded part as dictionary |
encoding | string | The message's main detected charset |
*アプリケーション・サイドでは、RFC822の長さのメッセージ文字列として測定されます。
警告: 行番号はメールシーケンス番号としてマッピングされます。このためIMAPクライアントweb2pyアプリは、他の更新中もしくは削除中メッセージを保護するため、セレクトと更新アクションの間はメッセージの削除をしないことを確認してください。
標準 CRUD
データベース操作は、サポートされていません。カスタムフィールドやテーブルの定義と、違うタイプのデータの挿入する方法はありません。なぜなら、IMAPサービスで更新中のメールボックスは通常、サーバにフラグ更新をポストするのを少なくするためです。それでも、DAL IMAPインターフェースを介し、それらのフラグコマンドにアクセスすることが可能です。
表示するメッセージクエリに、最後にマークするには、
seen = imapdb(q).update(seen=True)
IMAPデータベースで、Gumby氏から来たメッセージを削除するには、次のようにします。
deleted = 0
for tablename in imapdb.tables():
deleted += imapdb(imapdb[tablename].sender.contains("gumby")).delete()
直接削除する代わりに、削除マークをすることも可能です。
myset.update(deleted=True)